プライバシーポリシー | お問い合わせ

ははまる@chuchaのROOM

{🐕フルタイムママ×小3男子×愛犬ちゃん(16)との賑やかライフ。バタバタな毎日のそばに,愛犬ちゃんのいる穏やかな日常日記,初心者目線のPCレビュー,そして暮らしを心地良くしてくれるお気に入り愛用グッズ(ROOM)を優しくお届けします🐾}💐~リアルな日常を公開しています~💐

【小説】あの日の罵声はもう思い出せない~毒親育ち22年の軌跡~第6話最終回:本当のゼロからの出発。手に入れた自由と、スヤスヤ眠る私の宝物。

第6話最終回:本当のゼロからの出発。手に入れた自由と、スヤスヤ眠る私の宝物。

母の借金を全額完済し、母の方が私を拒絶し始めたことで、私はようやく22年におよぶ冷たい檻から解放された。そう思っていた。幼い我が子と手に入れた、待ち望んだへいおんな暮らし。

 

だけど、運命は神様がいないのかと思うほどの、容赦なく私に牙をむいた。

 

やっとつかみかけた穏やかな日常の中で、私たちは激しい自然災害に見舞われたのだ。

帰宅途中、自宅付近がレスキュー隊員や車が複数台来てる。道路も川のように水しぶきがたってる…

そう、勤務中激しく打ち付ける雨により、みるみるうちに水位が上がり、私たちの家は床上浸水という被害を受けていたのだ。

 

今日の朝までそこにあった家具も、思い出も、生活のすべてが泥水に飲み込まれている。

 

(どうしてわたしばかりが、こんな目に遭わなきゃいけないの?)

 

絶望で目の前が真っ暗になった。モノだけでなく、これまで必死に積み上げてきた生活の基盤まで、一瞬にして奪い去られた。私は、人としての持ち物をすべて失い、「本当のゼロからの出発」を余儀なくされたのだ。

 

その最悪のどん底で、私に手を差し伸べてくれた人がいた。

面会交流を通じて、細々と交流を続けていた元夫だった。

 

「大変だったな。落ち着くまでうちに来ればいい」

家を失った私たちを心配し、元夫は同居を提案してくれた。泥水のなかで途方に暮れていた私は、その言葉にすがるように、幼い子供を連れて元夫の家へと身を寄せた。

 

けれど、一度は離婚を選んだ関係だ。離れていた時間が長かったこともあり、やはり昔のようには打ち解けられなかった。

張り詰めた空気、どこか遠慮してしまう自分。元夫には感謝してもしきれない。だけど、私の心の奥にある本能が、静かにアラートを鳴らしていた。

 

(誰かによりかかったままじゃダメだ。私は、私の力で、この子を守る場所を作らなきゃいけない)

 

私はそこから、泥を払うようにして再び動きだした。

貯金をかき集め、必死で賃貸物件を探し、ついに自分名義の新しい借家を契約した。

引越しの日、新しい部屋のカギを握りしめた時、私は人生で最も大きな「決断」をした。

この日までに、買い直した車、新しい新居。

これらを、私は母をはじめとする「家族」の誰にも教えないと。

 

ただ、唯一お姉ちゃんのLINEだけを、かすかな血縁の糸として残しただけ。それ以外のすべてのルートを、私は自分の手で、永遠に遮断した。

 

これは、逃げじゃない。

私が私の人生と、私の大切な子供を守るための、完全な「決別」だった。

 

あれから、また新しい時間が流れた。

今では、この新しい家での生活にもすっかり慣れ、私たちは驚くほど穏やかで、普通の毎日を過ごせている。

 

世間を見渡せば、おじいちゃんやおばあちゃんに囲まれて、楽しそうに笑っている家族の姿が目に入る。

そんなとき、ふと思うことがある。

「この子には、おじいちゃんもおばあちゃんも居ないんだな」

 

親として、子供にそんな寂しい環境を選んでしまったことへの、小さくてチクリとした罪悪感が胸をよぎることは、今でもゼロじゃない。

 

だけど、それ以上に。

今の私たちには、あの家で毎日のように浴びせられていた理不尽な罵声も、夜中の草むしりも、全裸で外に閉め出される恐怖も、自分で稼いだお金をむしり取られる絶望も、何ひとつ存在しない。

 

誰の顔色を伺う必要もない。誰の不機嫌に怯える必要もない。

私の心も、体も、そして私の大切な子供の未来も、ここでは100%自由に、安全に守られている。

 

━━いま、私の横では、我が子が何に怯えることもなく、夜はスヤスヤと穏やかな寝息を立てて眠れる。

かつて小学4年生の私が、雨の山道で血を流しながら「普通の女の子になりたい」と泣いていた、あの日の罵声の正確な言葉は、もう今の私には思い出せない。

 

私の感情は、あの家には必要なかったかもしれない。

だけど、いま私が生きているこの優しい世界には、私の感情も、私の流す涙も、私の笑顔も、全てが必要で、愛おしいものだ。

 

わたしは、22年かけて、自分の人生を、自分の手で完全に奪い返した。

もう、誰も私たちの自由を奪うことはできない。

 

(完)

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございました

➡【お礼】小説を読んでくださったあなたへ。

届いた「⭐」に感謝を込めて。